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日韓トンネル計画の概要 -環境アセスメント(環境影響評価)-

山岳トンネル工事における排水処理

周辺環境対策・排水処理

山岳トンネル工事では、トンネル掘削に伴って発生する切羽からの湧水や工事用水に、削孔、ズリ積み、ズリ運搬による細粒土やコンクリート打設、薬液注入によるセメント、注入材、あるいは各種の坑内作業用機械類から漏水する油分等が混入することで、濁水となって排出されることが多い。この濁水の水量、水質はトンネルの規模、延長、掘削方式、地質、地下湧水量等により異なってくる。トンネル工事は比較的長い工期を要するため、濁水を直接、河川、湖沼、農業水路等へ排出すると水質汚濁を生じ、生活環境、自然環境に被害を及ぼすことになる。
 

一般的に、トンネル工事の濁水において環境保全上、問題となるのはSS(浮遊物質)、pH(水素イオン濃度)および油分である。工事によっては、処理水の規制値で生物化学的酸素要求量(BOD=Biochemical oxygen demand)、化学的酸素要求量(COD=Chemical Oxygen Demand)、クロム含有量等が問われることもある。また、重金属類を含む湧水が問題となることがある。地山中に工業排水が流入した箇所や重金属類を含有している地山中を掘削する場合には、その対応について別途に検討しなければならない。
 

排水処理を計画するに当たっては、予想排水量を設定し、排水基準を把握しておく必要がある。

① 予想排水量

トンネル工事における濁水の原水は坑内湧水と工事用水の二つに分けられる。このうち坑内湧水量については予測と実際に大きな差があることも多く,原水量を計画時点で的確に予測することは困難であるといえる。このためトンネル掘削開始時には最小限の濁水処理設備を設置し、掘削の進行に伴う湧水量の増加に合わせ、設備を増設する方法も採用されている。また、勇水量が多くなる場合、湧水の成分そのものに問題がなければ、清水と濁水を分離して、細粒土やセメント等が混入しない清水は別系統で直接放流する、いわゆる清濁分離方式が採用されることも多い。

② 排水基準

着工前に、汚濁水の発生源とその影響の有無、程度および関連法規類、規制値等を調査し、適切な浄化処理を実施して排水しなければならない。また、排出水の排水量や水質等は条例等の規定に従い測定、報告する必要がある。

③ 排水処理

一般に、水質汚染源として問題となるSS、pH、油分について、その処理に当たっての留意点と対策を述べる。

 

【SS(浮遊物質:Suspended solid)】
トンネル工事中の排水に含まれている土粒子の粒度組成は、岩石の種類やその性状、ずり出し方式、排水方式などで異なるが、シルト、粘土など微細な粒子の占める割合が高いことが多い。これらの粒子の沈降速度は非常に小さく、沈降に長時間を要するため、物理的・化学的処理を加えて、粒子を集合させてフロック(=凝集作用によって生成した大きな粒子で、フワフワした浮遊物の集合体)を形成し沈降を早める方法がとられている。フロック形成のために用いられる凝集剤には、無機凝集剤と高分子凝集剤がある。無機凝集剤としてトンネルエ事の濁水処理に主として用いられているものは、PAC(ポリ塩化アルミニウム)である。高分子凝縮剤は多くのメーカーにより独自の商品名で販売されており、製品の種類は多数あるが、アニオン性のものが多く使われている。これらの無機凝集剤と高分子凝集剤は相乗効果を期待して併用することが多い。

 

【pH(水素イオン濃度:Potential of hydrogen)】
トンネル工事に伴って発生する湧水のpHは、一般に6.5~7.5程度であるが、吹付けコンクリート、薬液注入剤などの混入によってpHが9~13になることが多い。また地山の岩質、土質によっては湧水自体が強酸性、強アルカリ性を示す場合もある。公共用水域に排水する場合には、排水基準値の範囲にまでpH調整しなければならない。pH調整は、沈降分離の前に行う場合と後に行う場合とがあり、前者は凝集処理が最適pH範囲で行えることなどで最近多く採用されているが、後者では、濁水中には中和反応を阻害する物質が多く混入しており、後中和に比べて中和剤使用量が多少多くなる。アルカリ性排水に対しては,炭酸ガスが一般的に用いられているが、pH値が特別に高い場合などには希硫酸を一時的に使用することもある。また,酸性排水に対しては、消石灰あるいは苛性ソーダ等が使用される。

 

【油分(ノルマルヘキサン抽出物質)】
トンネル掘削用機械(削岩機、岩盤掘削機、機関車、レール、ずり運搬車)等から漏出する油脂が湧水中に混入すると、その濃度は10~15ppm になることがある。油分が問題となるのは、主として異臭の発生、魚介類への着臭で低濃度でも着臭する場合があるため、極力除去することを考えなければならない。原水に油分が混入した場合、原水槽にてポリエチレン系の布状吸着材等が使用される。
 
(参考資料:「山岳トンネル工法の調査・設計から施工まで」、社団法人 地盤工学会)

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